Vol. 0 5

ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体
リサイクル原料を15%以上含有

  • Reduce
  • Reuse
  • Recycle

「ピオセラン RNW」
冊子版2023/10発行

COLLECTION 本号のテーマ:『ピオセラン RNW』

『ピオセラン』は、ポリスチレンとポリオレフィンをハイブリッド化した高機能発泡樹脂です。省資源性・軽量性に加え、耐衝撃性・耐薬品性・耐摩耗性などの特長を併せ持ち自動車部材や部品輸送梱包材として幅広く使用されています。

『ピオセラン RNW』はリサイクル原料を 15%以上含有し、『ピオセラン』と同様の物性を持った環境負荷低減製品です。回収した使用済みの『ピオセラン』をリサイクル原料とすることでサーキュラーエコノミーを実現しています。

『ピオセラン 』製品サイト

『ピオセラン RNW』はサスティナブルスタープロダクトに認定されています。また「ReNew+」にカテゴライズされた製品です。
積水化成品グループの独自認定基準で、特に環境への貢献度が高い製品を「サステナブル・スタープロダクト」(環境貢献製品)として社内認定しています。「ReNew+」は、リサイクル原料を使用した当社製品群のカテゴリーブランドです。

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Keywords「変わらない強度」

リサイクル原料を使用した『ピオセランRNW』。その強度は、未使用原料(バージン原料)で作られる『ピオセラン』と比較しても遜色なく、他の物性についても同等のスペックを有しています。軽量・頑丈な特性を活かし、精密で重量のある自動車部品の物流資材として採用されています。

Behind The Scenes

開発裏話

持続可能社会への大きな一歩

営業担当 山口篤・住田拓翔

2022 年 6 月、『ピオセラン RNW』のプレスリリース公開日に偶然、トヨタ自動車様との打ち合わせがありました。『ピオセラン RNW』の開発を進めていた時から「トヨタ自動車様にピッタリの製品だ!」という直感があり、私自身がリリースを心待ちにしていました。というのもトヨタ自動車様が自動車だけでなく、製造から廃棄する過程での環境負荷低減に向けた取り組みを進めておられることを聞いていたためです。トヨタ自動車様のご担当者にリリースをお見せしたところ、関心を持っていただいたのを覚えています。その後、とんとん拍子に話が進み、国内で使用されるハイブリッド自動車部品のリターナブル梱包資材として、異例とも言えるスピード感で採用となりました。まさに絶好のタイミングでご提案できたのではないでしょうか。しかし、嬉しさの反面、社内では大騒ぎとなりました。当時の計画では 2023 年度にお客様への採用を目指して準備していましたが、提供開始が 2022 年度に前倒しになったためです。新たな日程に間に合わせるべく関連部署や協力会社と連携し、やっとのことで最初の納品へ漕ぎ着けたのでした。

トヨタ自動車様では『ピオセラン』が持つ、割れ欠けが発生しにくいなどの特性を高く評価されており、自動車部品搬送用のリターナブル梱包資材として、以前から多数ご採用いただいています。そして、繰り返し使用された後に回収し、リサイクル原料として『ピオセラン RNW』の一部となります。使用済みの『ピオセラン』を『ピオセラン RNW』に再生させることで資源を有効に活用し、環境負荷を低減できるのです。

今までのリサイクル原料を使った梱包資材は、強度が下がることで輸送品質を損ってしまうかもしれないと、トヨタ自動車様をはじめ多くのお客様が懸念されています。しかし『ピオセランRNW』は、『ピオセラン』と同等の強度を持っているのでお客様に好意的に受け止めていただいています。

『ピオセラン RNW』の初めての採用が自動車メーカー最大手のトヨタ自動車様であったことは、大きな自信になりました。今日では「環境への負荷が低い」ことが、製品としての必須条件になっているといっても過言ではありません。 循環型社会への移行が求められている今、サーキュラーエコノミーを実現する『ピオセラン RNW』は当社にとって、ひいては持続可能社会にとって、重要な製品になっていくと確信しています。

山口篤さん
住田拓翔さん
Keywords「回収した製品から、
同じ製品を作る」

ユーザーから回収した製品を原料に、再度同じ製品を作り提供する技術を「クローズドリサイクル」と言います。廃棄物を発生させることなく、資源を循環させて有効活用することです。

積水化成品は使い終わった『ピオセラン』を回収し、再度『ピオセラン RNW』として製品化する独自技術を開発し、資源の再利用・循環に貢献しています。

①『ピオセラン』を粉砕機に投入(左上)②細かく粉砕される(右上)③熱で溶かし、細い棒状に押し出される(左下)④細かく裁断され、リサイクル原料になる(右下)

積み重ねてきたノウハウ

設計担当 山口雅人

梱包資材の形状は、お客様から細かく指定されているわけではありません。梱包したい部品と数、外装サイズ、要望など大まかな情報をいただき、検討・試作・提案を重ねてお客様と一緒に形にしていきます。トヨタ自動車様の梱包資材を設計する上で苦労したポイントは、自動化された生産ラインへの対応です。部品は梱包状態のままラインへ移動し、ロボットアームにより開梱され部品が取り出されます。この時にスムーズに取り出せるように設計段階で工夫をしています。さらに割れや欠けが起こりにくい形状にしておくなど、様々な状況を想定し不具合が発生しないように前もって設計へ落とし込んでいます。現在、問題なく使われていることは、設計段階で落とし込まれた工夫がうまく機能しているんだと思い、嬉しく感じています。こういった設計のノウハウは、長らく梱包資材に関わってきた当社だからこその提案だと自負しています。

今回、『ピオセラン RNW』に関わったことで私自身、モチベーションアップにつながりました。使用済みプラスチックの発生を抑制するだけではなく、クローズドリサイクルを実現したことで「ここまでできるようになった!」と誇らしく思っています。

積水化成品のノウハウが詰まっている成形型(画像左)成形後、治具を使って品質をチェック(画像右)
山口雅人さん

リサイクル原料を使うことの難しさ

開発担当 諌山顕

当社では今まで多数の環境へ配慮した製品を産み出してきました。その1つとして『ピオセランRNW』 の開発もスタートしましたが、実現までには苦労の連続でした。

実験室での試作では物性データも良好で、手応えを感じていました。しかし、生産設備で量産化検討を開始したところ、原料ビーズの粒子サイズが揃わず、不良品が普段の5倍近くも発生してしまいました。さらに、『ピオセラン RNW』の発泡ビーズ(原料ビーズに蒸気をあて、膨らませたもの)は、通常の発泡ビーズと比較して成形に最適な期間が半分ほどしかないことが分りました。これらの問題を抱えたままでは適切な品質をお客様へ提供できません。実験を重ねながら細かい調整、改善を加えていき、現在では安定した提供ができるようになりました。リサイクル原料特有の要素や製造方法の変更による影響を考慮して、品質を安定させることに大変腐心しました。

現在、さらにリサイクル原料の割合を高めた『ピオセラン RNW』の開発を進めています。問題はまだまだ山積みですが、達成するために、日々研究を進めています。そして『ピオセラン RNW』を始めとしたリサイクル原料を使った素材が、もっと当たり前に使われるような社会に向けて、素材開発をしていきたいと思っています。

諌山顕さん
Keywords「原料は真っ白」

『ピオセラン RNW』の原料はリサイクル原料が使われているとは思えないほど真っ白です

『ピオセラン RNW』(画像左)『ピオセラン』(画像右)

試作で培った現場力

製造担当 濱口匠

私の所属する積水化成品近江は、試作や実験的な成形を請け負うことが多く、そこで得た情報や知見を他のグループ会社と共有しています。そして『ピオセラン RNW』についても試作段階から関わることになりました。

『ピオセラン RNW』の試作をした時、初期の発泡ビーズは粒子サイズが不安定で、発泡ビーズが型へ繋がるパイプに詰まってしまうことがありました。本来はビーズの詰まりを解消するためにはビーズの充填機を金型から外す必要があり、時間や手間がかかり、成形の全体スケジュールに影響が出てしまいます。しかし、今までいくつもの試作や実験的な成形に携わってきた経験から、ビーズを送る空気圧の調整により、充填機を外さず、どうにか試作を進められました。その後、ビーズが改善され量産化のスケジュールに間に合わせることができたのです。

試作ではこういったトラブルは少なくありません。ですが製造現場では、何と言っても安定して成形できることが重要です。現場で様々な工夫をしつつ、開発・設計と連携しながら量産ではさらに安定した成形ができるようにしています。

『ピオセラン RNW』は環境負荷の低い製品ですが、製造時においても適切に条件管理することで、CO₂排出量の削減を実現しています。製造現場からも積極的に環境への貢献を進めていきます。

濱口匠さん
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